四十四侯 鶺鴒鳴く(せきれいなく)

改めて初秋の候に入れなくても、鶺鴒は普段から鳴いている様な気がしますが 今頃はよく鳴くのでしょうか。 身近な鳥ですが、セグロセキレイは日本固有種とのこと。 ちなみに鶺鴒という漢字、自慢ではないですが、いきなりは書けません。 翡翠も鴛鴦も無理。…

四十三侯 草露白し

昼間は夏の名残が残っていても、もう朝夕は秋の風情です。 数年前、夏の終わりにキャンプした時、朝早く目が覚めて、テントから 出てみると、草地に一面の露が降りていました。 今でもその時の足元を濡らす露の冷たさの感触を思い出します。 草の露と言えば…

四十二侯 禾乃ちみのる (こくものすなわちみのる)

夏の暑さは稲の実りを早めるようで、もう早稲の田には黄金色の稲穂が 風になびいています。 私の住む地域はまだ村の面影が残る地域で、田畑が多く残っていますが 街から移り住んだ時に少しカルチャーショックを受けた事を思い出します。 農村にとっては、他…

四十一侯 天地始めてさむし

今年の酷暑には本当に参りましたが、京都ではここ数日は湿度も低く 熱帯のような暑さではなくなってきました。 市内といっても山に近いところに住んでいるのですが、今まで夜には 窓という窓を全開にしていたのが、開けていると肌寒い程に涼しくなり ました…

四十侯 綿のはなしべ開く

綿の花はハイビスカスの花を黄色にしたような美しい花です。 そう言えばオクラも同じアオイ科で良く似た花をつけますが、 綿の実が熟すと文字通り白い綿の繊維が弾けます。 身近に感じる綿ですが、意外にも日本で広く栽培され始めたのは江戸時代から という…

三十九侯 深き霧まとう

春の霞と対をなして、秋には深い霧が立ち始める、、、 と言われても、まだまだ盛夏の今のこの季節にはピンときません。 まして京都盆地の中で暮らしていると、霧に出会う事は殆どありません。 もっと北の地方や高地では朝夕の温度差から霧が出るのでしょうね…

三十八侯 寒蝉鳴く(ひぐらしなく)

去年の夏、カフェで休んでいた時に、外国の人と日本人のグループが隣の テーブルで雑談をしていました。 大文字の送り火の日も近く、観光のために来日されたのでしょうか。 狭い店内なので話の内容が聞こえてくるのですが、外国の方が、いかに 日本の夏の蝉…

三十七侯 涼風至る

「暦の上では」という決まり文句で始まる立秋の日を知らせるニュース。 今の猛暑の日々には秋はまだまだ遠い気がしますが、 せめて言葉だけでも涼しさを感じたいものです。 とはいえ、稲穂がそろそろと顔を出し始めていたり、 山から降りて来た赤トンボを見つ…

三十六侯  大雨時々に降る

時に豪雨となる夏の雨。今年は梅雨が明けてからも多雨の日が続き、水害の ニュースを聞く事の多いこの頃です。 「これまでに経験したことのない大雨」という、私達が子供の頃にはなかった 新たな予報の気象用語まで登場するようになりました。 狭い国土の大半…

三十五侯 土潤いてむし暑し

白か黒か乱暴な分類ですが、夏人間と冬人間とに分けるとすれば、 私は間違いなく冬人間です。 寒さにはけっこう耐性があるのですが、暑さにはとても弱くて、 炎天下を10分も歩くともうヘロヘロ。早く秋になって欲しいと 切望しています。 連日の猛暑に心なら…

三十四侯 桐の花咲く

桐の花はもう五月にとっくに咲き終わった筈なのにと思っていたら、 どうやらアオギリのことらしいです。同じような名でも全く別の種類 になるそうです。 そう思って探してみると、たまに見かけるのですが、美しい桐の花に 比べると、プラタナス似の大きな葉…

三十三侯 鷹乃ちわざをならう

鷹の雛も成長して、狩りの方法を学ぶ頃ということでしょうか。 鷹を見る機会は素人の私には数える程ですが、小高い丘から眼下を飛ぶ ハイタカ?を見たことがあります。 鷹の目で地上を眺めると、どんな風景に見えるのか興味がわきますが 小さな獲物も見逃さ…

三十二侯 蓮始めて開く

泥から出でて、泥の様な世の中のダークサイドにも染まらず、 気高く咲く花の例えとして、仏教では特別な意味のある花ですね。 実際のところは、仏典での蓮は睡蓮をさしているとも聞きます。 そうすると仏様を飾る蓮の花の荘厳もイメージが少しだけ変わって …

三十一侯 温風至る(あつかぜいたる)

温風とは梅雨明け頃の蒸し暑い風のことをさす言葉だそうです。 まだ暑さに慣れていないのにこの蒸し暑さ! 京都の夏は熱帯並みと言われています。 さて7月7日は七夕ですね。もう子供が大人になっているにもかかわらず 我が家では毎年七夕飾りを作って、短冊…

三十候 半夏生ず

七十二侯では半夏はカラスビシャクという植物のことをさしているようです。 同じ名前でハンゲショウという植物が丁度今頃が見頃です。 木と草との違いはありますが、半夏生と感じがよく似たマタタビという植物も 今の時期に葉が白くなって、緑の中でよく目立…

二十九侯 菖蒲花咲く

アヤメもカキツバタも咲き終わって、今咲いているのは花菖蒲。 この仲間では華やかで花色も多いので、あちこちで沢山植えられています。 個人的にはゴージャスな花菖蒲よりも凛としたカキツバタが好きなのですが、 京都では天然記念物となっている太田神社の…

二十八侯 乃東枯るる(なつかれくさかるる)

今日は夏至ですね。 乃東ってなに?と調べてみたら、夏に枯れるというウツボグサのことでした。 なぜにウツボグサと言うのかと調べてみたら、花の形が矢を入れる靫(うつぼ) に似ているからだとか。 矢を入れるのは確か箙(えびら)というのでは?と調べてみ…

二十七侯 梅の実黄ばむ

梅雨という季節を表す言葉にも使われている梅ですが、 春に私達を楽しませてくれた花は、初夏には梅の実となって、 また恵みをもたらしてくれます。 自宅近くの猿の害に懲りた人が菜園に梅の樹を植えていました。 さすがの猿も青梅には手を出しません。 中毒…

二十六候 腐れたる草蛍となる

草の腐ったような所に蛍が生まれるなんて、随分な言い方です。 じめじめした梅雨のはずが、今年は梅雨に入ってからも京都では 殆ど雨が降っていません。 蛍を白川や疎水で見たというニュースも聞きましたが、 自宅近くの川で見られるはずの蛍はまだ現れては…

二十五侯 蟷螂生ず

カマキリが卵から生まれ出て来る頃といわれています。 子カマキリを指先で悪戯したら、小さな鎌を振り上げて威嚇するところはなかなか 根性が座っているというか、習性なのでしょう。噛まれるとけっこうな痛さです。 今は小さなカマキリ達もこれから夏にかけ…

二十四侯 麦秋至る

麦が実る季節ということですが、梅雨のある日本では栽培するにはなかなか難しかったようです。 それでも弥生時代にはもう栽培されていたということですから、八十八もの手間がかかると言われる お米に比べれば、中東発祥の麦は適地であれば栽培しやすいので…

二十三侯 紅花栄う

紅花の咲く頃とありますが、少し早いような気がします。 時々切り花として花屋の店先に並ぶこともありますが、アザミのように刺がチクチクと痛いので、 この花を摘むのは苦労が多いことでしょう。 末摘花という別名で思いだすのは源氏物語に登場するお姫様。…

二十二候 蚕起きて桑を食う

今は蚕を見る事などなくなってしまいましたが、 たまに山の中で緑色の繭が枝に付いているのを見かけます。 野蚕というのでしょうか、この繭で作った織物は希少価値があって 高価なのだとか。 現在は殆ど野生の蚕から作ったものは出回っていないと聞きました…

二十一侯 竹の子生ず

筍なんてもうとっくに竹になっている季節なのに、この七十二侯は少し納得 できません。 まあ、孟宗竹はもう筍の旬は過ぎてしまいましたが、これから出てくる真竹 の筍はほっそりスマートでさっと茹でてすぐに食べられるので重宝します。 ちなみに自宅の近く…

二十侯 みみず出ずる

遅まきながら、ごそごそとミミズが土の中から出てくる季節。 ミミズはただのチューブみたいで捉え所がありませんが、 しかしミミズは偉い! 私は花を作っているので、土の中にミミズを見つけるとうれしくなります。 しかも、渓流釣りに行く時にはりっぱな餌…

十九侯 蛙始めて鳴く

端午の節句ですね。もう暦の上では夏となります。 子供の頃、オタマジャクシを捕まえて、蛙になるまで飼っていた時の事を 思い出します。 小さな後ろ足が出て来て、しっぽがだんだんなくなり、蛙らしい顔つきに なっていくのが不思議で、やがて水の中から出…

十八侯 牡丹花咲く

牡丹は華やかすぎて、非の打ちどころのない完璧な美人のよう。 なるほど百花の王と言われるのは納得しますが、 むしろ私は同じ仲間で日本にも自生するヤマシャクヤクの清楚さに心惹かれます。 とはいえ、野草を中心に植えている私の庭にも、春の華やかさが欲…

十七侯 霜止で苗出ずる (しもやんで なえいずる)

もう霜も降りる事がなくなり、農作業は忙しくなります。 先日、北タンゴ鉄道に乗って、祖母の墓参に出かけました。 京都駅から保津川下りで有名な保津川を眼下に眺めながら やがて丹後の山間を小さな電車は走ります。 京都市内では遅咲きの里桜以外は葉桜に…

十六侯 葭始めて生ず (あしはじめてしょうず)

冬の間の眠りから覚めて、枯野だった葭原にも 緑のヨシの芽が伸び始めて来ました。 魚のすみかとなり、水を浄化するという大切な植物ですが、 実は増えすぎて困っている場所が京都市内にあります。 地下鉄の北山駅から北へ10分程の市街地にある深泥池という…

十五侯 虹始めてあらわる

雪の季節は過ぎ去り、しっとりとした雨が降ったあとには虹が現れる ということらしいのですが 京都に住んでいて虹に出会うのは、北山時雨の降る初冬が多いように思います。 そんな時には賀茂川に架かる橋から北山を眺めると、 よく虹が架かっているのを見か…