三十八侯 寒蝉鳴く(ひぐらしなく)

去年の夏、カフェで休んでいた時に、外国の人と日本人のグループが隣の
テーブルで雑談をしていました。
大文字の送り火の日も近く、観光のために来日されたのでしょうか。
狭い店内なので話の内容が聞こえてくるのですが、外国の方が、いかに
日本の夏の蝉の鳴声がうるさくて耐え難いかということを話していました。
確かに日本人の私でさえ、夏の盛りの蝉の大合唱は暑さが余計に感じられて、
もう少し静かにしてくれないものかと思ってしまいます。
ところが同じ蝉でも、まだ暗い夜明け前や、夕暮れ時に鳴くヒグラシの声は
心が沁みいるような、少し哀しいような、しんとした気持ちになります。
ちなみに芭蕉の有名な蝉の句については、斉藤茂吉は蝉の種類をアブラゼミ
断定したそうですが、それに対して、いやニイニイゼミだという意見も出た
とのこと。
ヒグラシはそもそも選択肢にはなかったのでしょうか。
実際はどうだったのでしょう。


簾に止まってひと休み アブラゼミ