八侯 桃始笑(ももはじめてさく)

雛祭の頃にはちやほやされていた桃の花も、
雛飾りを片付ける頃には花屋の店先から姿を消すことが多いですね。
今ひとつ容姿が垢抜けないということでしょうか。
梅、桃、桜を三姉妹に例えるなら、凛として気高い姉と
華やかで美しい桜の妹にはさまれて、ちょっとやぼったい次女のような。
とはいえ、ほわんとほほ笑んでいるような桃色の花は愛嬌があります。
ほほ笑むといえば、花が咲く事を笑という文字で表すとは、なんと素晴しいセンスでしょう。
桃の花が笑って、桜の花が笑って、それから季語で言えば若葉の頃、山も笑う季節となります。
京都御苑には梅林のとなりに桃林もありますが、梅が終わり桜にはまだ早い桃の咲く時期は人出もそんなに多くなく、
のんびりと散歩するのに良い季節です。


京都市内のデパートの花屋にて