五十七候 金盞咲く( きんせんかさく)

金盞花と聞くとよく仏花に添えられているオレンジ色の
キク科の花を思い浮かべますが、七十二候では水仙の事
を指すようです。
金の杯の花という意味でしょうか。
水仙の咲く時期はもう少し後なので、七十二候はどうも
季節の進み方が早いですね。
水仙はもともと日本に自生していなかったらしいのですが
それなら有名な越前岬など自生地とされているのは何故か
という疑問が出てきます。これは遥か大昔に大陸から海を
越えて球根が流れ着いたと云われています。
まるでヤシの実の歌のようですね。
水仙は地味ではありますが、花の少ない時期に咲いてくれる
花として重宝しますし、一輪挿しているだけでも良い香りを
部屋に漂わせてくれます。
ナルシストの語源となったギリシア神話の、水鏡に映る自分
の姿を愛してしまった少年が、死後に姿を変えたのは水仙
花だった気がします。


柴田是心 画